October 2006
ゼロの使い魔SS「ご主人様の憂鬱」第15話
「しっかりしろ、ホーエンローエ」
クラウに頬を叩かれてホーエンローエは目を開き、醒め切らないうつろな目で辺りを見回し、かえでを探した。
かえでを介抱し、そのセーラー服に付いた枯葉や泥をはらっていたメイド服の女性がホーエンローエの視線に気付いた。
「無事です。今すぐ処置が必要な怪我はしてないようです」
そういうとメイドは気を失ったままのかえでを背負って立ち上がった。
ホーエンローエもクラウに肩を抱えられ立ち上がらされる。
「さっきの奴が戻ってくる前にここを発とう」
薄暗くなり始めた森の中をホーエンローエはクラウの肩を借りながら進んだ。
まだ朦朧としているホーエンローエにクラウが訊ねた。
「さっき、何を唱えてたんだ?」
「よく覚えてない」
ホーエンローエは霞がかったようにすっきりしない頭を振った。
「杖を構えた瞬間に自然と口から呪文が出てきたんだ。そんなことより、どうしてここに?」
「ああ、学院長が君の部屋を出た後、僕の部屋にやってきてね。君も虫の使い魔を召還したのかって。最初に虫と聞いてまさかとは思ったが、君もだったとはね」
「僕のせいで君の嘘までバレちゃったんだな。すまん」
「気にするな、いつまでも隠し通せるとは思ってなかったさ」
クラウは笑いながらホーエンローエの背中を叩いた。
「ひどいですわ、よりにもよってフンコロガシだなんて」
まだ眠ったままのかえでを背負って先を進んでいたメイドが振り返る。
「この子はカメムシですってね」
泥だらけの疲れ切った顔で寝ているかえでを背負ったまま、メイドはすいすいと森の中を進む。
あの細い身体のどこにそんな力があるのだろうか。
「ところでクラウ、あの衣装は?」
「ああ、あわてて学園を出たんでああいうのしか調達できなかったんだ。召還した時は君の使い魔と同じ服を着ていたよ」
クラウに頬を叩かれてホーエンローエは目を開き、醒め切らないうつろな目で辺りを見回し、かえでを探した。
かえでを介抱し、そのセーラー服に付いた枯葉や泥をはらっていたメイド服の女性がホーエンローエの視線に気付いた。
「無事です。今すぐ処置が必要な怪我はしてないようです」
そういうとメイドは気を失ったままのかえでを背負って立ち上がった。
ホーエンローエもクラウに肩を抱えられ立ち上がらされる。
「さっきの奴が戻ってくる前にここを発とう」
薄暗くなり始めた森の中をホーエンローエはクラウの肩を借りながら進んだ。
まだ朦朧としているホーエンローエにクラウが訊ねた。
「さっき、何を唱えてたんだ?」
「よく覚えてない」
ホーエンローエは霞がかったようにすっきりしない頭を振った。
「杖を構えた瞬間に自然と口から呪文が出てきたんだ。そんなことより、どうしてここに?」
「ああ、学院長が君の部屋を出た後、僕の部屋にやってきてね。君も虫の使い魔を召還したのかって。最初に虫と聞いてまさかとは思ったが、君もだったとはね」
「僕のせいで君の嘘までバレちゃったんだな。すまん」
「気にするな、いつまでも隠し通せるとは思ってなかったさ」
クラウは笑いながらホーエンローエの背中を叩いた。
「ひどいですわ、よりにもよってフンコロガシだなんて」
まだ眠ったままのかえでを背負って先を進んでいたメイドが振り返る。
「この子はカメムシですってね」
泥だらけの疲れ切った顔で寝ているかえでを背負ったまま、メイドはすいすいと森の中を進む。
あの細い身体のどこにそんな力があるのだろうか。
「ところでクラウ、あの衣装は?」
「ああ、あわてて学園を出たんでああいうのしか調達できなかったんだ。召還した時は君の使い魔と同じ服を着ていたよ」