August 22, 2006

ゼロの使い魔SS「ご主人様の憂鬱」第8話

ホーエンローエの部屋のベッドの上で、一人残された夕奈木かえではぼんやりとした顔で自分の置かれた境遇に考えを巡らせていた。
そんな時に扉からガチャガチャと音がしたものだから、飛び上がるほどびっくりして毛布をかぶって隠れた。
鍵を開けて入ってきたのはこの部屋の主で、彼女を使い魔として召還したホーエンローエだった。
「驚かせてごめん」
ホーエンローエは扉に鍵をかけると、文机の椅子をベッドのそばに置いて腰掛けた。
「いえ、平気です。あの……私やっぱり何かの間違いでこっちの世界に来ちゃったんだと思うんです」
「ルーンは刻まれたんだよね」
「はい、多分……」
かえではそのルーンを確かめるように胸元を手で押さえた。
「じゃあ、そのルーンの模様をこの紙に書いて」
ホーエンローエは文机からペンと羊皮紙を取り、ベッドに置く。
かえでは後ろを向いて胸元を覗き込むとそこにあるルーンを書き写し、ホーエンローエへ手渡した。
「え……このルーンは……」
そこに描かれていたルーンは見覚えが無いどころか、ルーンとしての書式を為していない妙な記号だった。
「何なんですか?何かおかしいんですか?」
助けを懇願する表情のかえでに見つめられながら、ホーエンローエは考えをめぐらせる。
図書館で調べられるだろうか、それともコルベール氏にレポートとして提出すれば何か分かるだろうか……。
「ふむ、話はそれとなく聞かせていただいたぞ」
突然ドアの向こうからクラウでもコルベール先生でもない声がした。
「学院長?」
「いかにも。コルベール先生からカメムシの話を耳にしてちょっと気になってな」
ホーエンローエは鍵を開けてオールド・オスマンを部屋に招きいれた。
立派な白ひげをたくわえた白髪の老人を、かえでも恐縮して立ち上がって迎える。
ホーエンローエは学院長に椅子をすすめた。
「驚かしてすまないの。君たちもかけてくれたまえ」
かえではベッドに腰掛け、ホーエンローエもその隣に座った。
「学院長は学院内で起こるあらゆる事件を穏便に解決する職務にある。今の話、わしに相談してみんか」
ホーエンローエはルーンを描いた紙を渡し、サモン・サーバントを唱えてから今までのいきさつを説明した。
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shinji_i at 14:39│Comments(0)TrackBack(0)ゼロの使い魔 | SS

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