August 31, 2006

ゼロの使い魔SS「ご主人様の憂鬱」第10話

ホーエンローエとかえでは1頭の馬に相乗りして学院を出た。
「しっかり掴まって。駆けるよ」
後ろに乗ったかえでがぎゅっとしがみつくと手綱を握ったホーエンローエは馬の下腹を蹴って走らせた。
「ふぇーん」
二人は振動と風切り音で会話をする余裕もなくしばらく南に進んでから街道をはずれると、木々の間に馬を進ませ森に入った。
進むほどに枝や下生えが邪魔になり馬の速度が落ちだすと、今まで激しく上下に揺すぶられ続けていたかえではほっと息を漏らした。
馬に乗るのが初めてだったかえではやっと落ち着いて周囲に目をやることができた。
木々の梢を通して刺す柔らかな日の光で満たされた森の中、りすや小鳥たちが驚いて身を隠すさまはまるで絵本の中でみたワンシーンのようだった。
「うわぁ……きれい」
しばらく森の中を進んでいると、馬がヒヒンと首を振って進むのを嫌がった。
「ここからは先は馬の脚じゃ無理みたいだ」
先に馬を降りたホーエンローエがかえでが降りるのを手伝う。
馬の尻を叩いて学院に向かって送り返すと、ホーエンローエが先に立って森の中を進んだ。
地面は踏み固められておらず、転びそうになる度にかえではホーエンローエに掴まった。何度か転びかけてからはどちらからともなく二人は手をつないで進むことになった。
二人が部屋で見たホログラフの地図の中の神社シュラインは結構な速度で進んでいた。
ホーエンローエは木々の隙間から空を見上げた。もう太陽は真上を過ぎて傾き始めているが、まだ枯れた川のような道にも達していなかった。
「急ごう」
ホーエンローエがかえでの手を強く引いて進み始めたときだった。
「なんか嫌な予感がするんですけど」
かえでの手が震えている。
気が付くと、先程まで聞こえていた小鳥のさえずりなどが止んでいる。
ホーエンローエは空いた手でベルトから杖を抜き周囲を見渡す。
何の気配も感じられないが、かえでは血の気を失って青い顔をしている。
ホーエンローエはかえでを引いて走り始めた。
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(web拍手のお陰で飛ばして行けます。着いてくるには「急げ急げ」と書き込んでください)

shinji_i at 14:20│Comments(0)TrackBack(0)ゼロの使い魔 | SS

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