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January 13, 2008

ゼロの使い魔SS「ご主人様の憂鬱」第一部完

同じ登場人物で続きが書きたくなったので第一部完という形にさせていただきました。

テキスポ

shinji_i at 15:38|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

February 07, 2007

応援ありがとうございます

ゼロの使い魔SS「ご主人様の憂鬱」については現在15話まで公開しており、続きを執筆中です。
昔、本文が省略されてないのに「本文が省略されました。続きを読むには(以下略)」と書いてコメントを強要するネタが流行ってこのブログでも使ってたのですが、もう誰も覚えてないよね……。
ごめんなさい、本文は省略されていませんので「第○話へ進む」をクリックして読み進めてください。

shinji_i at 11:18|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

October 12, 2006

ゼロの使い魔SS「ご主人様の憂鬱」第15話

「しっかりしろ、ホーエンローエ」
クラウに頬を叩かれてホーエンローエは目を開き、醒め切らないうつろな目で辺りを見回し、かえでを探した。
かえでを介抱し、そのセーラー服に付いた枯葉や泥をはらっていたメイド服の女性がホーエンローエの視線に気付いた。
「無事です。今すぐ処置が必要な怪我はしてないようです」
そういうとメイドは気を失ったままのかえでを背負って立ち上がった。
ホーエンローエもクラウに肩を抱えられ立ち上がらされる。
「さっきの奴が戻ってくる前にここを発とう」

薄暗くなり始めた森の中をホーエンローエはクラウの肩を借りながら進んだ。
まだ朦朧としているホーエンローエにクラウが訊ねた。
「さっき、何を唱えてたんだ?」
「よく覚えてない」
ホーエンローエは霞がかったようにすっきりしない頭を振った。
「杖を構えた瞬間に自然と口から呪文が出てきたんだ。そんなことより、どうしてここに?」
「ああ、学院長が君の部屋を出た後、僕の部屋にやってきてね。君も虫の使い魔を召還したのかって。最初に虫と聞いてまさかとは思ったが、君もだったとはね」
「僕のせいで君の嘘までバレちゃったんだな。すまん」
「気にするな、いつまでも隠し通せるとは思ってなかったさ」
クラウは笑いながらホーエンローエの背中を叩いた。
「ひどいですわ、よりにもよってフンコロガシだなんて」
まだ眠ったままのかえでを背負って先を進んでいたメイドが振り返る。
「この子はカメムシですってね」
泥だらけの疲れ切った顔で寝ているかえでを背負ったまま、メイドはすいすいと森の中を進む。
あの細い身体のどこにそんな力があるのだろうか。
「ところでクラウ、あの衣装は?」
「ああ、あわてて学園を出たんでああいうのしか調達できなかったんだ。召還した時は君の使い魔と同じ服を着ていたよ」

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September 26, 2006

ゼロの使い魔SS「ご主人様の憂鬱」第14話

かえでがホーエンローエをかばうように抱きついた直後に、二人はものすごい衝撃で突き飛ばされて、頭から腐った枯れ草の中に突っ込んだ。
口や鼻には泥が入り込み、背中に何かが乗って、かえでは地面に押さえつけられた。
続くであろう攻撃に身を固めたが、直後に「ぎゃん」という巨獣の鳴き声と、がさがさと木立を揺らして逃げていく物音がした。
そして、静寂が訪れ、かえではおそるおそる振り向いて背中を押さえつけている何かを確認した。

それはロングスカートの黒いワンピースに身を包み、フリル付きの白いエプロンとエプロン同様白いフリルの付いたカチューシャを身に付け、まとめられた長い髪の奥から切れ長の目でかえでを見つめていた。
恐ろしい爪から二人を救い、今、かえでの背中を片足で踏んづけているのはかえでより少し年上のお姉さんで格好はメイドだった。

「追いつきました、クラウ」
かえでの背中に足をかけたままのメイドが声を掛けた方向から魔法学院の黒いローブを着た少年が二人に駆け寄る。
「ホーエンローエ、無事か」
メイドが足下から二人を解放すると、クラウと呼ばれた少年はホーエンローエを抱きかかえた。
それまで小さく低く唱え続けられていたホーエンローエの呪文がそこで止んだ。
その途端にかえでは目の前が真っ暗になり、そのまま気を失った。

(応援ありがとうございます。もう少々お付き合いください)
15話へ進む

shinji_i at 15:57|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

September 20, 2006

ゼロの使い魔SS「ご主人様の憂鬱」第13話

再び木の陰から「フゥッ」という威嚇と共に、二人に向けて巨大な獣の爪が横薙ぎに払われる。
かえではそれを視界の隅に捕らえると同時にホーエンローエの脇へと飛びずさり、細剣を斜めに構えて敵の爪を防ぐ。
直後、無防備に晒された巨獣のわき腹に攻撃を加えるが、固い毛皮にさえぎられ、やはり致命傷にならない。
「ギニャッ」とひと鳴きするが、敵は攻撃の体勢をとったままかえで達を伺いつつ草陰へと身を潜めた。
そのやや緩慢な動きを見てかえでは、相手にこちらの力を見透かされただろうか、と不安を覚えた。
もう時間稼ぎは通用しないかも知れないとかえでは思い至り、次の敵の攻撃に備えて剣を突けるように構えなおした。
がさっと下生えが揺れると同時にかえでは跳躍し、枝葉をかきわけて出てきた獣の鼻面に向けて剣を突き立てる。
ざしゅっと敵の馬面の眉間の間に剣は深々と突き刺さった。

……馬面?

草陰から飛び出してきたそれは馬の生首だった。
囮だ、と気付いて背後を振り返るかえでの目に飛び込んできたのは、爪を振り上げた巨大な獣がホーエンローエに襲いかかる光景であった。
ホーエンローエは微動だにせず呪文の詠唱を続けている。
剣の先には馬の頭が刺さっていて振り回せる状態ではない。
かえでは剣を捨ててホーエンローエに飛びついて覆いかぶさった。
14話へ進む

shinji_i at 16:20|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

September 12, 2006

ゼロの使い魔SS「ご主人様の憂鬱」第12話

暗闇の中で光る二つの目と向かい合うかえでの耳にカチカチと何か硬い物同士が小刻みにぶつかりあう耳障りな音が入る。意識を集中しようと歯を食いしばると音が止んだので、鳴っていたのはかえで自身の奥歯なのだろう。
大きな獣のようなうなり声も止み、ホーエンローエが低く小さく唱える呪文だけがかえでの耳に伝わる。にらみ合いが始まってしばらく経つが、ホーエンローエの呪文はまだ終わる気配は感じられない。

「フゥッ」
と獣が短く息を吐く音がしたと同時にガサッと草木が揺れ、大きな黒い影が飛び出し鋭い爪を振り上げた。
爪の描く弧の先にはホーエンローエの首がある。
「あっ」
すばやく跳ね上がったかえでの両手が細剣で獣の爪をいなす。
ギャリンと金属同士がこすれ合うような音がして、爪は空を切った。
かえでは剣を振った勢いで転がるようにホーエンローエの前に躍り出、片膝をついて止まった。
獣の影は再び森の闇の中に消えたが、まだこちらを伺っているようだ。
ガサッと木々を揺らす音と共に今度は獣の影が高く飛び上がって二人を頭上から襲った。
「ひゃ」
驚いたかえでは片腕でホーエンローエを抱え上げ獣の落下点から飛びのくと、細剣を片手で構え着地の勢いで飛び掛ってくる敵に一閃を浴びせた。
「ギャッ」
と短く鳴き声をあげ、獣は木々の裏に回った。かえでが与えた傷は浅かったようで、相手はまだ二人を諦めてくれないようだ。
脅威は去っていないが背後から聞こえる呪文が頼もしく感じられ、かえでの心を落ち着かせ、また気力をみなぎらせてくれた。
13話へ進む

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September 05, 2006

ゼロの使い魔SS「ご主人様の憂鬱」第11話

ホーエンローエはかえでを引きずるように森を進んだ。
太く高い木が多くなり真っ直ぐに進めなくなり、また、乗り越えなければならないほど高く張った根も二人の行く手を阻んだ。
かえでもなんとかついてきているが、セーラー服は汗や泥や枝にこすれたせいで所々汚れてしまっている。いつへこたれて弱音を吐き始めてもおかしくない。
引き返したほうがいいかもしれない、とホーエンローエが立ち止まって暗い森を振り返ると、背後の木の陰からさっき追い返したはずの馬が首を出していた。
馬に近付こうとしたホーエンローエをはぁはぁと肩で息をしていたかえでが掴んで止めた。
息を整えながらかえでが問う。
「……なんで?……ついてこられる訳ないじゃないですか」
ホーエンローエも全身泥だらけだ。確かに馬にこなせる道のりじゃない。
木陰から覗いていた馬の首がぼとり、と地面に落ちた。断面の血は既に固まっている。
「ひっ」
かえでは飛び上がって驚きホーエンローエにしがみつく。ホーエンローエも肝を冷やし息を飲んだ。
二人が固まっていると、グルルルルルと獣のうなる声がその木の裏から聞こえ始めた。
ホーエンローエはできるだけ音を立てないように慎重に杖を抜いて構えると空いている手で背負ってきた細剣を抜いてかえでに手渡した。
「ふぇ、あ、あの、ちょっと」
「実は魔法が得意じゃないんだ」
「え、ええ〜っ」

詠唱を始めたホーエンローエの視線は前方の空中を見つめて止まっており、表情は固まったまま、口元だけが小さく動いている。
かえでは片刃の細身の剣を両手で前方に向かって構えた。
「早く魔法を……」
左右に震えている剣の先、木陰の後ろの闇の中から大きな二つの目が光る。
目と目の間は馬のそれの倍以上開いている。
12話へ進む

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August 31, 2006

ゼロの使い魔SS「ご主人様の憂鬱」第10話

ホーエンローエとかえでは1頭の馬に相乗りして学院を出た。
「しっかり掴まって。駆けるよ」
後ろに乗ったかえでがぎゅっとしがみつくと手綱を握ったホーエンローエは馬の下腹を蹴って走らせた。
「ふぇーん」
二人は振動と風切り音で会話をする余裕もなくしばらく南に進んでから街道をはずれると、木々の間に馬を進ませ森に入った。
進むほどに枝や下生えが邪魔になり馬の速度が落ちだすと、今まで激しく上下に揺すぶられ続けていたかえではほっと息を漏らした。
馬に乗るのが初めてだったかえではやっと落ち着いて周囲に目をやることができた。
木々の梢を通して刺す柔らかな日の光で満たされた森の中、りすや小鳥たちが驚いて身を隠すさまはまるで絵本の中でみたワンシーンのようだった。
「うわぁ……きれい」
しばらく森の中を進んでいると、馬がヒヒンと首を振って進むのを嫌がった。
「ここからは先は馬の脚じゃ無理みたいだ」
先に馬を降りたホーエンローエがかえでが降りるのを手伝う。
馬の尻を叩いて学院に向かって送り返すと、ホーエンローエが先に立って森の中を進んだ。
地面は踏み固められておらず、転びそうになる度にかえではホーエンローエに掴まった。何度か転びかけてからはどちらからともなく二人は手をつないで進むことになった。
二人が部屋で見たホログラフの地図の中の神社シュラインは結構な速度で進んでいた。
ホーエンローエは木々の隙間から空を見上げた。もう太陽は真上を過ぎて傾き始めているが、まだ枯れた川のような道にも達していなかった。
「急ごう」
ホーエンローエがかえでの手を強く引いて進み始めたときだった。
「なんか嫌な予感がするんですけど」
かえでの手が震えている。
気が付くと、先程まで聞こえていた小鳥のさえずりなどが止んでいる。
ホーエンローエは空いた手でベルトから杖を抜き周囲を見渡す。
何の気配も感じられないが、かえでは血の気を失って青い顔をしている。
ホーエンローエはかえでを引いて走り始めた。
11話へ進む
(web拍手のお陰で飛ばして行けます。着いてくるには「急げ急げ」と書き込んでください)

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August 25, 2006

ゼロの使い魔SS「ご主人様の憂鬱」第9話

「ふーむ」
ホーエンローエの話を聞き終わってオスマンは大きく頷いた後しばらく考え込んだ。
「学院に古くから伝わる春の使い魔召還の儀式の歴史の中に、サモン・サーバントの呪文で使い魔以外のものを召還した例はない」
かえでの顔から血の気が引いて真っ青になる。
「あの、でも、私この世界のこと何も」
「わしも無駄に長生きしてきたが、口のきける使い魔に会うたのは初めてじゃ。じゃから、使い魔がどんな気持ちで召還されてきたのか聞いたことはない。じゃがどんな使い魔も契約した主人と気持ちを通じあわせておった」
かえでとホーエンローエは顔を見合わせた。
「じゃ、じゃあ、やっぱり私、きっと何かの間違いで」
「でも、コントラクト・サーバントは成功して、ルーンも」
かえでの発言をさえぎってホーエンローエは慌てて主張する。
「まぁまぁ、二人とも落ち着きなさい。で、そのルーンじゃが学院にあるどの書物にも記載されてないようじゃの」
いつの間にか使い魔のねずみのモートソグニルがオスマン氏の肩に乗ってちゅうちゅうと耳打ちしていた。
かえでが胸のルーンが刻まれたと思しきあたりをセーラー服の上から手でぎゅっと押さえると、布地が胸に押し付けられてその形と大きさが強調された。
ホーエンローエはそれに気を取られまいと意識を他の事に集中したが、オスマンは眼福とばかりに鼻の下を伸ばして凝視する。
「あの、校長先生。私が本当に使い魔かどうか確かめる方法はないんですか」
「お、おほん。なぜ自分が使い魔に選ばれたのか、始祖ブリミルの意思を尋ねる方法があるかもしれん。これを見よ」
オスマンが杖でテーブルを叩くと、箱庭のホログラフが浮かび上がった。
「おお」
思わずかえでとホーエンローエは感嘆の声を上げた。
「ここが学院じゃ」
学院の周囲の森や山が精密に再現された箱庭の中のマッチ箱ほどの大きさの家の模型を指して言う。
「南に下ると森の中に枯れた川のような道がある。これを西に向かって進む神社シュラインの隊列がある。今はこの辺かの」
箱庭の中にぽんっと馬車の模型のホログラフが現れる。
神社シュライン……移動する神社シュラインですか」
「いかにも。わしが昔世話になった巫女シャーマンがおるからこの招待状を持って訪ねるがよかろう」
オスマン氏が杖を振るうと羊皮紙と羽根ペンが現れ、宙で羽根ペンがすらすらと何かを書き記した。
最後の行にオールド・オスマンが自分でサインを書き入れると、羊皮紙は勝手にするすると巻き上がり、リボンと蝋で自動的に封緘された。
かえでとホーエンローエはホログラフの箱庭、中でもきちんと脚を交互に上げて進む馬車の模型の動きに見とれていた。
「ほれ、早く出発せんと追いつけなくなるぞ」
10話へ進む

shinji_i at 18:04|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

August 22, 2006

ゼロの使い魔SS「ご主人様の憂鬱」第8話

ホーエンローエの部屋のベッドの上で、一人残された夕奈木かえではぼんやりとした顔で自分の置かれた境遇に考えを巡らせていた。
そんな時に扉からガチャガチャと音がしたものだから、飛び上がるほどびっくりして毛布をかぶって隠れた。
鍵を開けて入ってきたのはこの部屋の主で、彼女を使い魔として召還したホーエンローエだった。
「驚かせてごめん」
ホーエンローエは扉に鍵をかけると、文机の椅子をベッドのそばに置いて腰掛けた。
「いえ、平気です。あの……私やっぱり何かの間違いでこっちの世界に来ちゃったんだと思うんです」
「ルーンは刻まれたんだよね」
「はい、多分……」
かえではそのルーンを確かめるように胸元を手で押さえた。
「じゃあ、そのルーンの模様をこの紙に書いて」
ホーエンローエは文机からペンと羊皮紙を取り、ベッドに置く。
かえでは後ろを向いて胸元を覗き込むとそこにあるルーンを書き写し、ホーエンローエへ手渡した。
「え……このルーンは……」
そこに描かれていたルーンは見覚えが無いどころか、ルーンとしての書式を為していない妙な記号だった。
「何なんですか?何かおかしいんですか?」
助けを懇願する表情のかえでに見つめられながら、ホーエンローエは考えをめぐらせる。
図書館で調べられるだろうか、それともコルベール氏にレポートとして提出すれば何か分かるだろうか……。
「ふむ、話はそれとなく聞かせていただいたぞ」
突然ドアの向こうからクラウでもコルベール先生でもない声がした。
「学院長?」
「いかにも。コルベール先生からカメムシの話を耳にしてちょっと気になってな」
ホーエンローエは鍵を開けてオールド・オスマンを部屋に招きいれた。
立派な白ひげをたくわえた白髪の老人を、かえでも恐縮して立ち上がって迎える。
ホーエンローエは学院長に椅子をすすめた。
「驚かしてすまないの。君たちもかけてくれたまえ」
かえではベッドに腰掛け、ホーエンローエもその隣に座った。
「学院長は学院内で起こるあらゆる事件を穏便に解決する職務にある。今の話、わしに相談してみんか」
ホーエンローエはルーンを描いた紙を渡し、サモン・サーバントを唱えてから今までのいきさつを説明した。
9話へ進む

shinji_i at 14:39|PermalinkComments(0)TrackBack(0)